サブリースってあんまり良い噂を聞かないけど、実際のところどうなの?建築営業側から解説

土地活用

以前、お客様から「YouTubeで勉強しているからサブリースは必要ない、大丈夫です」と言われたことがあります。

私は、その方が何を見て勉強されているのか気になり、YouTubeでサブリースについての動画を見てみました。

すると、実際に私が仕事で行っていることとは違う説明があり、「サブリースを知らない人が話すと、そういう解釈になるんだ」と驚いたことがあります。

もちろん、YouTubeで情報を集めること自体が悪いわけではありません。契約する前に、いろいろな意見を知っておくのは大切なことだと思います。

ただ、サブリースについては、否定的な話の一部分だけを聞いて判断してしまうのも、反対に「家賃保証があるから安心」と考えてしまうのも、少し違うと感じています。

私は、サブリースは条件が合えば良い仕組みだと思っています。

今回は、ネットで見かけるサブリースの話について、サブリースを提案する側から実際にどう感じているのかをお伝えします。

「サブリースだと、家賃を相場より安く設定される」って本当?

私が実際とは違うと感じた一番の部分は、家賃設定についての話です。

その動画では、サブリース会社が家賃保証をするために、入居者向けの家賃を相場より安く設定し、会社の利益を確保している、という趣旨の説明がされていました。

でも、少なくとも私が知っている家賃の決め方は、そういうことではありません。

私の勤務先では、スマサテというAIを活用した家賃査定サービスを使用して、家賃を査定しています。

アパートを計画している場所や、間取り、広さ、ベランダの向き、設備などを入力し、家賃を算出します。

もちろん、家賃が相場より安ければ入居が安定しやすくなり、会社が空室時に家賃を保証するリスクも少なくなります。

ですが、今の時代、ネットで検索すれば近隣の賃貸物件情報を探すことは容易です。

だからこそ、「サブリースだから入居者向けの家賃を相場より安く設定する」ということは、会社の信用にも関わりますし、安易な家賃設定はできないと思います。

もちろん、この査定方法がすべての会社に共通するわけではありません。だからこそ、気になる場合は「この家賃は何を根拠に設定したのか」と、提案を受けている会社に確認してみてください。

じゃあ、サブリースって安心なの?

私は、サブリースは条件が合えば良い仕組みだと思っています。

空室が出た際、契約に基づいた賃料収入を見込めることは、オーナーにとって大きなメリットです。

ただし、契約する前に、最低限次の3つは確認しておいてください。

  • 保証賃料は、将来下がる可能性があります。 「30年家賃保証」は、30年間同じ金額が支払われるという意味ではありません。賃料の固定期間や見直し条件を確認してください。
  • 保証賃料を下げる際、オーナーの合意が必要なのか確認してください。 契約書にどのような条件が定められているか、事前に把握しておくことが大切です。
  • 「修繕費は当社が負担します」という内容でも、修繕費がまったくかからないわけではありません。 どこまでの修繕費をどちらが負担するのか、確認してください。

最低限の内容にはなりますが、この3つを理解し、提示された契約条件にも納得したうえであれば、私はサブリースを組むことをおすすめします。

サブリースを利用した方が良いケース

空室による収入の変動を抑えたい場合

私がサブリースをおすすめしたいのは、空室による収入の変動をできるだけ抑えたい方です。

一般管理の場合、入居者が退去すると、次の入居者が決まるまでその部屋の家賃収入はありません。一方、サブリースでは、免責期間などの契約条件を除き、空室があっても契約に基づいた賃料を受け取れます。

例えば、アパートの建築費を借り入れでまかなう場合、入居状況にかかわらず毎月の返済は続きます。空室が出るたびに収入が大きく変わることを避けたい方にとって、サブリースは選択肢の一つになると思います。

ただし、サブリースを利用すれば、返済に困らなくなるという意味ではありません。保証賃料が見直された場合や、修繕費が必要になった場合も考えて、収支を確認することが大切です。

相続対策としてアパートを建てる場合

相続対策を目的にアパートを建てる場合も、サブリースを検討する価値があると思います。

相続が発生した際には、土地や建物などの財産を評価し、相続税の申告や納税が必要かどうかを確認します。

アパートの敷地は、一定の要件を満たすと「貸家建付地」として評価されます。この評価には賃貸割合が関係するため、相続時の入居状況によって評価額が変わる場合があります。

サブリースの場合、オーナーはサブリース会社に建物を貸しているため、実際の入居者がいない部屋についても、契約の実態によっては賃貸中として評価できる場合があります。

ただし、サブリース契約があれば必ず全室を賃貸中として評価できる、というわけではありません。また、一般管理でも一時的な空室については賃貸中として扱える場合があります。実際の相続税評価は、契約内容や賃貸状況を踏まえて税理士などに確認してください。

もう一つ、私がサブリースを検討する価値があると思うのは、次世代への引き継ぎです。

相続によってご家族がアパートを引き継ぐ場合、名義変更をはじめ、管理や修繕に関する手続きが必要になります。

サブリース会社が管理や修繕の窓口も担っている契約であれば、引き継いだご家族が相談先を把握しやすく、手続きを進めやすい場合があります。

一般管理でも管理会社に相談することはできますが、契約内容によっては、管理や修繕についてそれぞれ別の連絡先を確認しなければならないこともあります。

将来、誰がアパートを引き継ぐのか。その方が管理や手続きを負担なく続けられるかという点も、サブリースを選ぶ際に考えておきたいことだと思います。

地方など、賃貸需要が限られる地域で建てる場合

地方など、入居者を確保するのが難しい地域では、空室が長引いたときの収入減が気になるところです。

そうした地域で、サブリース会社が借り上げに応じ、提示された保証賃料で収支が成り立つのであれば、サブリースを検討する理由になると思います。

ただし、賃貸需要が少ない地域ほど、サブリースがあれば安心というわけではありません。借り上げの対象外となる場合もありますし、将来の保証賃料の見直しも考える必要があります。

サブリースを利用できるかどうかだけでなく、そもそもその場所にアパートを建てて経営が成り立つのかを、先に確認してほしいと思います。

サブリースがいらないと思うケース

私は、すべてのアパートにサブリースが必要だとは考えていません。立地やオーナー自身ができることによっては、一般管理や自主管理の方が合う場合もあると思います。

家賃が下がりにくい地域にアパートを建てる場合

特に東京23区や都市近郊など、賃貸需要があり、家賃が下がりにくいと見込める地域では、サブリースを付けずに経営することも選択肢になると思います。

サブリースでは、空室時にも契約に基づいた賃料を受け取れる一方、満室時にオーナーが受け取る金額は、一般管理の場合より少なくなることがあります。管理・保証費を含め、賃料の約10〜15%程度が差し引かれるケースもありますが、割合は契約によって異なります。

空室が出ても次の入居者が決まりやすく、家賃も維持しやすい物件であれば、サブリースによる保証を付ける必要性は低くなると考えています。

ただし、23区や都市近郊なら必ず入居が決まるというわけではありません。同じ地域でも、駅からの距離や間取り、設備、周辺の競合物件によって状況は変わります。

自分で管理や修繕の手配ができる場合

オーナー自身で入居者への対応や建物の管理、修繕の手配などができる場合も、サブリースは必ずしも必要ではないと思います。

例えば、修繕が必要になったときに自分で業者を探して手配できる方や、管理会社と相談しながら経営を進められる方であれば、修繕費を抑えられる場合があります。

サブリースを利用することで何を任せられるのか、その代わりにどのくらい受け取る賃料が変わるのか。そこを比較したうえで、自分で対応できる範囲が広いのであれば、一般管理や自主管理を選ぶのも一つの方法だと思います。

まとめ|サブリースは自分に合っているかで判断を

サブリースには、空室時にも契約に基づいた賃料収入を見込めるというメリットがあります。一方で、保証賃料の見直しや修繕費の負担など、契約前に理解しておきたいこともあります。

私自身、サブリースは条件が合えば良い仕組みだと思っています。ただし、すべてのオーナーに必要なものではありません。

相続を見据えているのか、空室による収入の変動を抑えたいのか。それとも、賃貸需要のある地域で、自分で管理や修繕の手配をしながら経営していきたいのか。

何を重視するかによって、合う方法は変わります。

ネットの情報だけで「サブリースは危険」と決めつけるのでもなく、営業担当者の「家賃保証があるから安心」という言葉だけで決めるのでもなく、自分が提示された契約内容を確認し、納得したうえで選んでほしいと思います。

サブリースに限らず、契約書には難しい言葉が多く、一度説明を聞いただけでは理解しにくいこともあると思います。

もし、分からないことがあっても、現在ご提案を受けている営業担当者には聞きにくいという場合は、私でよければ一緒に確認します。お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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