誰も住まなくなった実家。
自分が住む予定はないし、家族の誰かが戻るという話もない。このまま空き家になってしまうと分かっていても、「じゃあ、売ろうか」「解体しようか」と簡単には決められない方も多いのではないでしょうか。
生まれ育った家には、思い出があります。今は住んでいなくても、あまり帰省していなくても、帰る場所が残っているというだけで、どこか安心することもあると思います。
そんな実家を壊すことは、建物がなくなるだけではなく、心の拠り所までなくなってしまうようで、寂しいものです。
私の家族にも、長年空き家になっていた実家が2軒ありました。ひとつは兄弟が住むことになり、リフォームして使う予定です。もうひとつは、家族で相談した末に解体し、売却する方向で考えています。
同じ空き家でも、その後の選択は違いました。
今回は、私の実体験を交えながら、誰も住まない実家をこれからどうするのか、すぐには決められないときに考えておきたいことをお話しします。
壊したくないなら、今すぐ結論を出さなくてもいい
実家を残したいと思う理由は、人それぞれです。
将来、家族の誰かが住むかもしれない。お盆やお正月には帰省したい。あるいは、もう使う予定はないけれど、思い入れのある家を壊す決心がつかない。
そうした気持ちがあるなら、無理に今すぐ売却や活用を決めなくてもいいと私は思います。
ただ、「今は残しておく」と「何も決めずにそのままにする」は、少し違うと思います。
今は残すとしても、いつ頃もう一度家族で話し合うのか。その間は誰が家を管理するのか。維持費はどのくらいかかり、誰が負担するのか。
まずは、そうしたことを家族で決めておくことが大切だと考えます。
いつ頃話し合う?その間、実家はどうする?
実家をどうするか、帰省するたびに家族で話し合っていては、せっかくの休暇なのに心が休まらないと思います。
今すぐ結論を出せないなら、私は法事のタイミングがいいのかなと思っています。
一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌など、家族にとって故人を思い出し、手を合わせ、近況を報告する機会は、ひとつの心の区切りにもなりやすいのではないでしょうか。
これは田舎ではよくある話かもしれませんが、あまり早いタイミングで実家を売却したり解体したりすると、親族や近所の方々から後ろ指をさされることもありますしね。
ですので、例えば次の法事で家族それぞれの気持ちを確認する。そして、家族で決めた節目を迎えたら、今後の方針に沿って動き始める。
そうして時期を決めておけば、帰省するたびに同じ話を繰り返さずに済みます。
ただし、その間も家の管理は必要になってきます。
誰が家の様子を見に行くのか。庭の手入れや建物の風通しはどうするのか。固定資産税や雑草の処分にかかる費用は、誰が負担するのか。
もし家族だけで管理するのが難しければ、空き家管理サービスなどを利用する方法もあります。
実家のこれからを決める時期と、それまでの間の管理や費用負担。
この2つを家族で共有しておけば、今すぐ何かを決めなきゃと焦らなくても、次に向けて準備を進められると思います。
実家のこれからを考えるとき、建築営業として伝えたいこと
家族で実家の今後について話し合う際に、「その家と土地で、どんな選択肢があるのか」について、少しアドバイスをしたいと思います。
私は普段、建築営業として土地活用のご相談を受けていますが、土地があれば必ずアパートを建てられる、収益を生む活用方法がある、というわけではありません。
私の家族が所有していた2軒の実家についても、仕事柄、土地活用ができるかどうかを確認しました。ですが、どちらもアパート経営には向かない土地だったため、選択肢そのものが少なかったという事情もあります。
まずは、年間いくらかかっているか確認する
実家を残しておく場合、誰も住んでいなくても費用はかかります。
確認しておきたいのは、次のような費用です。
- 固定資産税・都市計画税:毎年届く納税通知書で確認する。
- 庭の手入れ:雑草や庭木の管理を業者に依頼する場合は、見積もりを取る。
- 交通費:定期的に実家を確認しに行くためのガソリン代や電車代。
- 修繕費:建物に傷みが見つかり、そのまま放置すると自然災害などの際に近隣へ被害が出かねない場合は、対処が必要。
家を訪れた際には、屋根や外壁、雨樋などに傷みがないか、室内に雨漏りやネズミなどの痕跡がないかも確認しておきましょう。
窓を開けて風を通すことも、閉め切った家の湿気対策になります。
年間でどのくらい費用がかかるのか。誰が管理し、誰が負担するのか。
一度書き出しておくと、家族で具体的に話し合いやすくなります。
活用を考えるなら、近所を確認する
土地活用を考えるなら、まずは実家の近所を見てみましょう。
例えば、近くに次のようなものはありませんか?
- 月極駐車場
- アパート
- 貸店舗や事業用の建物
こうした土地活用が近所で何年も続いているなら、「自分の土地でも活用できるかも?」と考える材料になります。
実家の土地がそれらと同じくらい、あるいはそれ以上の広さなら、その選択肢があるかもしれません。
「うちの土地でもできるかもしれない」と思ったら、具体的な活用方法を専門業者に相談したり、土地活用比較サイトで複数の提案を比べたりしてみましょう。
売却を考えるときも、近所を確認する
売却を考えている場合も、まずは近所の状況を見てみましょう。
例えば、近くに新しい分譲住宅が複数建っていれば、その地域で住宅用地としての需要があるかもしれません。
インターネットで近隣の売地を検索し、価格を調べる方法もあります。
ただし、ネットに掲載されている価格と、実際に売れる価格は同じとは限りません。
売却先によっても、価格の考え方は変わります。
- 個人に売る場合:近隣の売地の販売価格が参考になる。
- 住宅メーカーや不動産会社に買い取ってもらう場合:ネット上の販売価格を、そのまま買取価格の目安にはできない。
また、古い家が建っている場合は、解体してから売る方法だけでなく、建物を残したまま売る方法もあります。
解体を決める前に、不動産会社へ両方の方法を相談してみましょう。
家族の気持ちと、実際にできることを照らし合わせる
大切なのは、実家をどうしたいかという家族の気持ちと、その家や土地で実際にできることを、両方確認してから決めることです。
すぐに結論が出なくても、年間の維持費や建物の状態、土地活用・売却の見込みが分かれば、次の法事などで家族が集まったとき、具体的に話し合うための材料になります。
最後に
ご自身で調べたり、考えたりするのも良いと思います。
ただ、実際には今の生活や家族のことで手一杯で、実家のことまでなかなか手が回らない方も多いのではないでしょうか。
正直に言うと、土地活用について調べ、検証し、提案資料を作るのは、私たち専門業者の仕事です。
ご家族だけで何もかも調べて、結論を出そうとしなくても大丈夫です。
専門業者からの提案もひとつの判断材料として、ご家族皆様で実家のこれからを話し合うきっかけになれば幸いです。


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