土地活用でアパート経営は儲かる?儲からない?建築営業がよく聞くお客様からの不安とお言葉

土地活用

土地活用を考えたとき、代表的な選択肢のひとつがアパート経営です。

一方で、アパート経営についてあまり良いイメージを持っていない方も少なくありません。

私はアパート・マンションの建築営業として、お客様からこんな言葉を聞くことがあります。

「修繕ばかりで手元に残らない」

「アパートは借入が大きいから、建ててもほとんど手元に残ってないわよ」

「土地を守るために建てるようなもん」

「家賃は下がるでしょ?」

「古くなったら入居者が入らなくなるんじゃない?」

どれも、実際にアパートを所有している方や、土地活用を検討している方から聞いてきた言葉です。

そして、どれも完全に間違っているとは思いません。

ただ、実際の話を詳しく聞いてみると、「アパート経営だから儲からない」という単純な話ではないことも多くあります。

今回は、アパート経営のお金の流れを中心に、建築営業として実際にお客様からよく聞く不安について考えてみたいと思います。

アパート経営は本当に儲からないのか?

まず、「アパート経営は儲かるのか?儲からないのか?」という疑問について。

私は、単純にどちらかとは言えないと思っています。

なぜなら、土地の立地や建築費、借入額、自己資金、家賃設定、入居率などによって事業計画が大きく変わるからです。

同じ6世帯のアパートを建てたとしても、すべてのオーナーが同じ収支になるわけではありません。

そして、アパート経営を考えるときに大切なのが、「家賃がいくら入るのか」だけで判断しないことです。

アパート経営には家賃以外にも収入があり、支出も様々です。

アパート経営の主な収入

主な収入としては、

  • 家賃
  • アパートに付属する駐車場料金
  • 共益費
  • 更新料

などがあります。

更新料については、契約内容によってオーナーの収入になる場合もあれば、管理会社の収入となる場合もあります。

では、反対にどんな支出があるのでしょうか。

アパート経営の主な支出

借入をして建築した場合には、当然ながら金融機関への返済があります。

ただし、支出は返済だけではありません。

たとえば、

  • 借入金の元金返済
  • 借入金の利息
  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理会社への管理費
  • 共用部分の水道代・電気代
  • インターネット接続費用
  • 防犯カメラなどの費用
  • エレベーターや浄化槽などの定期的なメンテナンス費用
  • 植栽・植木の剪定費用
  • 火災保険・地震保険などへの備え
  • 将来必要になる修繕への備え

などがあります。

物件の設備や管理方法によっても、必要になる支出は変わります。

つまり、

家賃収入が多い=その金額がそのまま手元に残る

というわけではありません。

重要なのは、収入と支出のバランスです。

実際のお金の流れを見てみる

言葉だけでは分かりにくいので、ひとつのモデルケースで考えてみます。

今回使用するのは、木造6世帯のアパートを想定した初年度の収支例です。

このモデルでは、将来の修繕や保険などへの一定の備えも「その他支出」に含めたうえで、年間収支を約160万円としています。

ただし、実際のアパート経営では、想定していなかった修繕や設備交換、空室などによって、さらに支出が発生する可能性もあります。

つまり、年間収支として約160万円が残ったとしても、それをそのまま「自由に使えるお金」と考えるのではなく、将来の支出も考えながら経営していくことが大切です。

もちろん、これはあくまでも一例です。

建築会社、立地、建築費、借入条件、自己資金、家賃、設備などによって収支は変わります。

だからこそ、アパート経営を検討するときは「家賃がいくら入るのか」だけを見るのではなく、最終的にどれくらいのお金が手元に残る計画なのかまで確認することが大切です。

そして、この「手元にいくら残るのか」という話に関連して、お客様からよく聞くのが、

「アパートは借入が大きいから、建ててもほとんど手元に残ってないわよ」

という言葉です。

確かにアパートやマンションの建築には、大きな金額が必要になります。

自己資金だけで建築する方ばかりではありませんので、金融機関から融資を受けて建築するケースも多くあります。

当然、借入額が大きくなれば毎月の返済も大きくなります。

ただし、借入額が大きいという理由だけで「儲からない」と判断するのも少し違います。

たとえば1億円を借りていたとしても、それに対して十分な収入があり、返済やその他の支出を差し引いたあとに資金が残るのであれば、事業として成立する可能性があります。

反対に、借入額が比較的小さくても、家賃収入が少なかったり、維持費などの負担が大きかったりすれば、手元に残るお金は少なくなります。

大切なのは借入金額そのものではなく、

収入と返済、その他の支出がどのようなバランスになっているのか

を見ることです。

「銀行が貸してくれるから大丈夫」とも限らない

ここでもうひとつ、私が大切だと思っていることがあります。

それは、

「金融機関が融資してくれる=必ず良い事業」ではない

ということです。

もちろん金融機関も、返済できる見込みがまったくない計画に簡単に融資するわけではありません。

ただ、融資の判断では、そのアパート単体の収益性だけではなく、借りる方の資産状況や返済能力なども関係してきます。

極端な例ですが、1億円の資産を持っている方に1億円を貸す場合と、資産が1,000万円の方に1億円を貸す場合では、金融機関から見た返済能力の評価が同じとは限りません。

そのため、

「融資が通ったから、このアパート経営は絶対に大丈夫」

と考えるのではなく、自分自身でも長期的な収支を確認することが必要だと思います。

「修繕ばかりで手元に残らない」と言われる理由

これも、アパートを所有しているお客様から実際によく聞く言葉です。

「アパートなんて修繕ばかりで、全然お金が残らないよ」

確かに、アパートは建てたら終わりではありません。

建物は年数が経過すれば、さまざまな部分で修繕が必要になります。

ただ、私がこれまでお話を聞いてきた中では、この言葉を話される方にひとつの傾向を感じることがあります。

それが、相続などによって途中からアパート経営を引き継いだ方です。

詳しく話を聞いてみると、それまで将来の修繕に備えた資金が十分に準備されておらず、引き継いだ後に修繕時期を迎えている方でした。

アパートを建てた当初は、当然ながら建物も設備も新しいため、大規模な修繕はそれほど多くありません。

ところが、築年数が経過すれば状況は変わってきます。

外壁や屋根、防水、給排水設備、エアコンなど、さまざまな部分で修繕や交換が必要になる可能性があります。

そこで重要になるのが、修繕が必要になってからお金を用意するのではなく、新築時から将来のために備えておくことです。

修繕費は「突然出ていくお金」にしない

たとえば、新築して最初の数年間に大きな修繕がほとんどなかったとしても、

「修繕費がかからなかったから、その分のお金を使ってしまおう」

と考えるのではなく、将来の修繕に備えて資金を残しておく。

私はお客様にも、新築時から将来の修繕に備えて、計画的に資金を残していくことの大切さをお話ししています。

国土交通省が公開している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」でも、安定的な賃貸経営のためには、大規模修繕に備えてあらかじめ長期的な計画を立て、適切なメンテナンスに取り組むことが示されています。

また、同ガイドブックでは修繕資金を確保する必要性についても紹介されています。

だからこそ、

「今年いくら残ったか」だけではなく、「将来必要になるお金を残せているか」まで考えることが大切です。

建物を長期間所有するのであれば、将来どの時期に、どのような修繕が必要になる可能性があるのかも、あらかじめ想定しておく必要があります。

さらに、入居状況によって収入が変わる可能性もあります。

年間収支として残ったお金についても、将来必要になる支出を考え、計画的に資金を残しておくことが大切です。

これは、

「アパート経営は儲からない」という話ではありません。

むしろ逆で、長く安定して経営するために、短期的な手残りだけではなく長期的なお金の流れを見る必要があるということです。

結局、アパート経営は儲かる?儲からない?

ここまで読むと、

「結局どっちなの?」

と思われるかもしれません。

私の答えは、

アパートだから儲かる、アパートだから儲からない、と一括りにはできない

です。

土地の立地も違えば、建築費も違います。

自己資金や借入条件も違います。

建てる建物も違えば、設定できる家賃も違います。

だからこそ、アパート経営を検討するときには、

「年間家賃収入○○万円」

「表面利回り○%」

といった数字だけを見るのではなく、実際にどのような支出があり、最終的にどれだけ資金が残るのかまで確認することが重要です。

さらに言えば、初年度の収支だけを見ても十分ではありません。

アパート経営は長期間にわたります。10年後、20年後には今と同じ家賃で貸せるとは限らず、建物の経年とともに修繕費が増えていく可能性もあります。

それらを最初からある程度想定したうえで事業計画を考えることが、アパート経営では大切だと思っています。

まとめ|アパート経営は「家賃収入」だけで判断しない

アパート経営というと、

「毎月家賃が入ってくる」

という部分に目が行きがちです。

しかし、実際の経営では借入返済だけでなく、税金、管理費、維持費、保険、設備費、そして将来の修繕など、さまざまなお金が必要になります。

だからこそ、

「いくら家賃が入るのか」ではなく、「必要な支出を差し引いて、将来への備えまで考えたときにどのくらい残るのか」

を見ることが大切です。

そしてもうひとつ。

アパート経営についてよく聞くのが、

「家賃はどんどん下がる」

「古くなったら入居者が入らなくなる」

という不安です。

家賃は本当に下がり続けるのでしょうか。

そして、古いアパートには本当に入居者がつかなくなるのでしょうか。

私は、「古くなったら入らなくなる」という言い方は少し違うと思っています。

この話は今回のお金の話と同じくらい重要なので、次の記事で詳しく書きたいと思います。

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