「土地が空いているから、駐車場にしてみようかな?」
土地活用と考えたとき、とりあえず駐車場に…と考える方が多いのではないでしょうか。
駐車場経営は、比較的少ない初期費用で始めやすく、将来ほかの用途へ変更しやすい土地活用です。
しかし、「始めやすい=儲かりやすい」とは限りません。
この記事では、駐車場経営の費用や収益、メリット・デメリット、向いている土地について、実際の営業経験も交えながら分かりやすく解説します。
土地活用としての駐車場経営とは?
駐車場経営とは、所有している土地を駐車スペースとして利用者に貸し出し、賃料や利用料金を得る土地活用です。
駐車場といっても、砂利を敷いた簡易的なものから、アスファルト舗装、屋根付き、コインパーキングなど、さまざまな方法があります。
駐車場経営は「簡単」「手軽」と言われる理由
駐車場が「簡単」「手軽」と言われる理由の一つは、建物を建てなくても始められることです。
例えば、砂利を敷いて駐車区画をロープなどで区切るだけの簡易的な駐車場であれば、大規模な工事をせずに始められる場合があります。
アスファルト舗装やフェンスなどを設置すれば費用は増えますが、土地の状態や予算に合わせて整備方法を選ぶこともできます。
また、建物を建てないため、将来的に土地を別の用途へ変更しやすいことも「手軽」と感じられる理由でしょう。
駐車場経営には月極駐車場とコインパーキングがある
駐車場経営には、大きく分けて月極駐車場とコインパーキングがあります。
月極駐車場は、利用者と契約して月単位で駐車スペースを貸し出す方法です。
個人利用だけでなく、法人が社有車用や工事車両用としてまとめて借りるケース、店舗が第二駐車場として利用するケースなどもあります。
一方、コインパーキングは、時間または1日単位で駐車スペースを貸し出す方法です。
コインパーキングには、
- 土地をコインパーキング会社に貸して運営してもらう方法
- 土地所有者自身が設備を購入して経営する方法
があります。
土地を業者に貸す場合は、自分で設備を用意する負担を抑えられる一方、すべての土地で業者が出店してくれるとは限りません。
実際、駅から徒歩7分程度の土地についてコインパーキングの相談を受けた際、ある大手コインパーキング会社から「出店できない」という回答を受けたことがあります。
理由は、周辺に競合するコインパーキングがあり、料金相場を考えると土地所有者に提示できる金額では採算が合わないというものでした。
駅に近ければ、必ずコインパーキングに向いているとは限らないのです。
駐車場経営にかかる費用は?
駐車場経営では、始めるときの初期費用だけでなく、経営を続けている間にも税金や維持管理費などがかかります。
駐車場を始めるときにかかる初期費用
駐車場の初期費用は、土地の状態やどこまで整備するかによって大きく変わります。
主な費用としては、
- 砂利・砕石などの敷設
- アスファルト舗装
- 駐車区画のロープやライン
- フェンス・コンクリートブロック
- 看板や照明
- その他の外構工事
などがあります。
100㎡の土地を駐車場として整備する場合の、砂利敷きとアスファルト舗装の費用目安は次のとおりです。
| 舗装方法 | 100㎡の概算費用 | 目安単価 |
| 砂利敷き | 約15万円~30万円 | 約1,500~3,000円/㎡ |
| アスファルト舗装 | 約30万円~70万円 | 約3,000~7,000円/㎡ |
※あくまで概算です。土地の状態、下地工事、舗装の厚さ、残土処分、既存舗装の撤去、排水工事、重機の搬入条件などによって費用は大きく変わります。特にアスファルト舗装は、施工面積が広くなると㎡単価が割安になる傾向があります。実際に駐車場を整備する場合は、施工会社から見積もりを取ることをおすすめします。
駐車場経営で継続してかかる費用
駐車場を始めた後も、継続して次のような費用がかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 償却資産税
- 雑草の駆除
- 清掃などの維持管理費
- 管理会社への委託費
駐車場は建物を建てないからといって、維持費がまったくかからないわけではありません。
特に、空き家を解体して駐車場にする場合などは、駐車場にした後の税負担まで含めて収支を考えることが重要です。
管理会社へ委託する場合の管理費
自分で利用者の募集や契約、問い合わせ対応などを行うのが難しい場合は、管理会社へ委託することもできます。
管理費は会社によって異なります。
私が勤務する会社では、駐車場の管理費として賃料の4%をいただいています。
募集や契約書の作成などは行っていますが、賃料は利用者から土地所有者へ直接振り込まれる仕組みで、雑草の駆除についても別途となっています。
このように、管理会社へ委託する場合でも、すべての管理業務が含まれているとは限りません。
契約前に、何が管理費に含まれていて、何が別料金なのかを確認しておきましょう。
駐車場をやめるときに退去費用はかかる?
アパート経営などでは、建て替えなどに伴って入居者に退去をお願いする場合、退去にかかる費用を考える必要があります。
一方、月極駐車場では、基本的に車を止めるためのスペースを貸しているため、利用者が退去するときに退去費用を請求されるケースはあまりありません。
契約内容にもよりますが、必要な告知期間を経て契約を終了できるため、土地活用をやめたり、別の用途へ変更したりしやすいことも駐車場経営のメリットです。
駐車場経営の収益はどのくらい?
駐車場経営の収益を考えるときは、単純に「駐車料金×台数」だけで考えてはいけません。
駐車料金・駐車台数・稼働率・経費まで考える必要があります。
駐車場の収益は「料金×台数×稼働率」で考える
例えば、100㎡の土地に3台の駐車スペースを確保し、1台あたり月8,000円で貸すとします。
満車の場合、
8,000円×3台=月24,000円
年間では、
24,000円×12か月=28万8,000円
となります。
しかし、常に満車とは限りません。
仮に稼働率を80%とすると、
8,000円×3台×80%=月19,200円
年間では、
19,200円×12か月=23万400円
となります。
ここからさらに、固定資産税・都市計画税、管理費、草刈りなどの維持管理費用がかかります。
つまり、駐車場経営では、
駐車料金×駐車台数×稼働率-税金・管理費・維持管理費
で考えることが大切です。
そして重要なのは、「満車なら年間いくらになるか」だけではなく、「実際にいくら手元に残るのか」を見ることです。
駐車場経営に向いている土地とは?
駐車場経営では、土地の面積だけでなく、周辺の需要や土地の形も重要です。
立地・周辺環境
「駅に近いから駐車場に向いている」「住宅街だから駐車場には向いていない」と単純に判断することはできません。
重要なのは、その土地の周辺に駐車場を必要としている人がいるかです。
周辺の月極駐車場やコインパーキングを調べれば、料金や空車状況などを確認できます。
近隣の駐車場に管理会社の看板があれば、問い合わせてみるのも一つの方法です。
現在はインターネットの駐車場検索サイトもあるため、周辺の駐車場を調べる際の参考になります。
ただし、空いている駐車場があるからといって、必ずしも需要がないとは限りません。
料金が周辺相場より高いことが原因かもしれませんし、砂利敷きよりアスファルトのほうが料金が高いなど、設備によっても料金は変わります。
屋根付きやガレージタイプであれば、さらに料金が高くなる傾向があります。
そのため、料金だけでなく、舗装状況、設備、空車状況なども合わせて比較することが大切です。
また、自分で一軒一軒周辺の住宅や店舗に聞いて回るのは簡単ではありません。
駐車場を検討する際には、周辺の需要を調査してくれる専門業者に相談する方法もあります。
実際に私は、約300坪の実家が空き家になり、駐車場にできないかという相談を受けたことがあります。
その際には、近隣住宅に敷地内駐車場があるのか、周辺の月極駐車場の入車状況、近隣の歯科医院やグループホームなどに第二駐車場の需要がないかを確認しました。
しかし、駐車場を必要としているという明確な回答は得られませんでした。
さらに、前面道路が約4mの私道で、視認性もあまり良くありませんでした。
そのため、始めた時点ですぐに満車にできる確証がないことから、最終的には駐車場にしないという判断になりました。
一方で、別の土地では、駅から25分ほどの落ち着いた住宅地にもかかわらず、コインパーキングになったケースがあります。
私自身、その地域を営業で回っていたため、近隣に車を止める場所が少ないことを感じていました。
そこでコインパーキング業者に相談したところ、出店したいという回答があり、土地所有者の方にご紹介して、実際にコインパーキングとして利用されることになりました。
このように、駅からの距離だけで駐車場の需要を判断することはできません。
「誰が、なぜ、その駐車場を必要とするのか」という視点で周辺環境を見ることが大切です。
土地の形
駐車場では、土地の面積だけでなく土地の形も重要です。
特に確認したいのが、道路と土地が接している部分の長さである「間口」です。
一般的な駐車区画は、1台あたり幅2.5m×奥行5m程度が一つの目安です。
ただし、車を出し入れするためには車路も必要になります。
間口が広い土地は、車の出入りがしやすく、駐車区画も配置しやすくなります。
同じ100㎡の土地でも、形によって駐車できる台数は大きく変わります。
例えば、
間口20m×奥行5m
の土地であれば、土地の形によっては7~8台程度を配置できるケースがあります。
一方、
間口10m×奥行10m
の土地では、車路や出入りのスペースを確保する必要があるため、3~4台程度になるケースもあります。

※駐車台数は土地の形状をもとにした概算例です。実際の台数は、道路幅、接道状況、出入口、車路などによって異なります。
つまり、「100㎡あるから○台止められる」とは限りません。
土地の面積だけではなく、間口、奥行、道路との接し方、出入口、車の動線まで確認する必要があります。
駐車場経営のメリット
初期費用を抑えやすく、始めやすい
駐車場経営は、アパートやマンションなどの建物を建てる土地活用と比べると、初期費用を抑えて始めやすいことがメリットです。
砂利を敷いてロープで区画を分けるような簡易的な方法から、アスファルト舗装やフェンスを設置した駐車場まで、予算や土地の状況に合わせて整備方法を選べます。
土地を売却したり、別の用途へ変更したりしやすい
駐車場は建物を建てないため、将来的に土地を売却したり、別の土地活用へ変更したりしやすいという特徴があります。
例えば、将来的にアパートを建てる、土地を売却する、子どもの家を建てるなど、今すぐ将来の利用方法が決まっていない場合にも、選択肢を残しやすい土地活用です。
管理の手間を外部に任せられる
駐車場の募集や契約、利用者からの問い合わせなどを管理会社に委託することもできます。
自分で管理する時間がない土地所有者にとっては、管理の手間を減らせることがメリットです。
ただし、草刈りや清掃などが管理費に含まれず、別途費用となる会社もあります。
管理会社に委託する場合は、何をしてもらえるのか、何が別料金なのかを事前に確認しましょう。
駐車場経営のデメリット・リスク
収益性が低くなる場合がある
駐車場は始めやすい一方で、土地から得られる収益がそれほど大きくならない場合があります。
特に駐車できる台数が少ない土地では、満車になったとしても月々の収入には限界があります。
そのため、初期費用が安いという理由だけで決めず、最終的にどのくらいの収入が残るのかを確認する必要があります。
空車リスクがある
駐車場は、作ったからといってすぐに満車になるとは限りません。
特に新しく始める場合は、周辺の人に存在を知ってもらうまで時間がかかることがあります。
月極駐車場なら空いている区画が増えるほど収入が減ります。
自分でコインパーキングを経営する場合も、利用者が少なければ売上が伸びません。
駐車場として利用しても税金はかかる
駐車場として土地を利用しても、固定資産税や都市計画税などの税金はかかります。
特に、住宅が建っている土地には一定の要件を満たすことで住宅用地の特例が適用されますが、住宅を取り壊して駐車場として利用すると、この特例を受けられなくなる場合があります。
そのため、空き家を解体して駐車場にする場合などは、駐車場にした後の税負担まで含めて収支を考えることが重要です。
周辺環境が変わると駐車場需要も変わる
駐車場の需要は、周辺環境によって変化します。
近くの店舗や事業所がなくなったり、新しい競合駐車場ができたり、周辺の住宅事情が変わったりすれば、これまで利用されていた駐車場が空いてしまう可能性もあります。
そのため、現在の需要だけではなく、将来的に周辺環境が変化する可能性も考えておきましょう。
コインパーキングは貸し方によって初期費用やリスクが違う
コインパーキングには、土地を業者に貸す方法と、自分で設備を購入して経営する方法があります。
土地を業者に貸す場合は、設備費などの負担を抑えやすく、毎月一定額の収入を得られるケースがあります。
一方で、業者がその土地を借りてくれるとは限りません。
自分で設備を購入する場合は、業者が出店するかどうかに左右されませんが、車止めや精算機などの設備への初期投資が必要です。
利用者が少なければ売上が伸びず、設備投資を回収できない可能性もあります。
同じコインパーキングでも、誰が設備を負担し、誰が運営するのかによって、土地所有者の負担やリスクは変わります。
2026年の土地事情から考える駐車場経営
駐車場経営を考えるうえでは、現在の土地を取り巻く環境にも目を向けておきたいところです。
2026年7月1日に国税庁が公表した令和8年分の路線価を見ると、千葉県では地域によって差はあるものの、主要地点の多くで前年から上昇しています。
| 地点 | 最高路線価の対前年変動率 |
| 松戸 | +12.8% |
| 千葉西 | +11.9% |
| 船橋 | +9.4% |
| 千葉東 | +8.5% |
| 市川 | +5.1% |
| 柏 | +4.9% |
| 銚子 | ▲1.4% |
| 館山 | 0.0% |
東京でも、足立+24.2%、中野+22.4%、品川+19.0%など、前年から大きく上昇した地点があります。
※路線価は相続税・贈与税の土地評価の基準となるもので、固定資産税評価額や実際の土地価格そのものではありません。また、路線価の上昇率がそのまま駐車場賃料や固定資産税の上昇率になるわけではありません。
私が営業している東京・千葉エリアでも、土地の価値が上昇している地域があります。
一方で、駐車場の賃料は土地の価値が上がったからといって、簡単に値上げできるものではありません。
実際、駐車場を経営されている土地所有者の方からは、「以前より実際に手元に残る金額が減ってきた」という話を伺うことがあります。
駐車場の賃料は下がりにくい一方で、周辺の相場や利用者との契約などがあるため、簡単には上げにくいものです。
だからこそ、駐車場経営では売上だけではなく、税金や管理費などを差し引いた後の「実入り」まで考えることが大切です。
駐車場経営を始める前に確認したいこと
将来の土地利用まで考えておく
駐車場は撤退しやすいという特徴があるため、将来の土地利用がまだ決まっていない場合にも検討しやすい方法です。
例えば、
- 将来売却する予定がある
- 将来、子どもの家を建てたい
- 共有名義の土地で、地代を現金で分けたい
といったケースです。
一方で、すでに相続税を支払った経験があり、次の相続でも相続税が発生する可能性があるなど、相続税の節税を重視する場合は、駐車場だけでなく他の土地活用も含めて慎重に検討する必要があります。
土地活用は、現在の収入だけではなく、将来その土地をどうしたいのかまで考えて選ぶことが大切です。
→ 関連記事:土地を相続したら、売る?活用する?そのまま持つ?
周辺の駐車場需要を調べる
駐車場を始める前には、周辺の需要を確認しましょう。
確認したいのは、
- 周辺の月極駐車場の料金
- 空車状況
- コインパーキングの料金
- 近隣住宅の駐車場状況
- 店舗や事業所の駐車需要
- 競合する駐車場の数
などです。
自分だけで調べるのが難しい場合は、専門業者に市場調査を依頼する方法もあります。
収支計画を立てる
最後に重要なのが、実際の収支計画です。
確認したいのは、
- 初期費用はいくらか
- 駐車料金はいくらに設定できるか
- 駐車台数は何台か
- 何台埋まればプラスになるか
- 満車時の年間収入はいくらか
- 固定資産税・都市計画税はいくらか
- 管理費はいくらか
- 草刈りや清掃などにいくらかかるか
といった点です。
そして、もう一つ考えてほしいのが、
「満車になったとして、その収入で本当に満足できるのか?」
ということです。
土地活用では、単純に「赤字にならないからOK」ではなく、その土地を使って得られる収入として十分なのかまで考える必要があります。
まとめ|駐車場は「始めやすさ」だけで決めない
駐車場は、比較的少ない初期費用で始めやすく、撤退もしやすい土地活用です。
一方で、駐車台数や周辺の需要によって収益性は大きく変わり、税金や管理費などの費用もかかります。
そのため、「土地が空いているから、とりあえず駐車場にしよう」と決めるのではなく、周辺の需要や収支をしっかり確認することが大切です。
そして、もう一つ考えてほしいのが、「なぜ駐車場にしようと思ったのか?」ということです。
空き家をどうにかしたい、土地をしばらく使わない、少しでも収入を得たい、将来売却するまでの間だけ活用したいなど、駐車場を考える理由は人それぞれです。
その理由によっては、駐車場よりも別の土地活用のほうが、その土地や土地所有者の目的に合っている場合もあります。
だからこそ、「駐車場にできるか?」だけではなく、「本当に駐車場でいいのか?」というところまで考えてみることをおすすめします。
駐車場、アパート、売却など、いくつかの選択肢を比較したうえで、自分の土地をこれからどうしたいのかに合った方法を選ぶことが大切です。


コメント