古いアパートはいつ建て替える?築年数だけでは決められない3つのタイミング

土地活用

古いアパートを所有している方から、

「築何年くらいになったら建て替えた方がいいですか?」

と聞かれることがあります。

築30年、築40年、築50年。

アパートが古くなってくると、どこかに「建て替え時期の正解」があるように思うかもしれません。

でも私は、築年数だけで建て替え時期を決めるものではないと考えています。

私はアパート・マンションの建築営業を14年間続けていますが、実際に、築25年に満たない段階で建て替えた方もいれば、築50年になっても建て替えを考えていない方もたくさん見てきました。

では、何を目安に考えればいいのでしょうか。

今回は、私がお客様から「いつ頃建て替えたらいい?」と聞かれたときにお話ししていることを、実際の事例も交えながら紹介します。

古いアパートは築何年で建て替える?

例えば、今年で築40年になったアパートがあるとします。

でも、そのアパートは去年まで築39年でした。

39年から40年になったことで、建物や経営状況が急に変わったでしょうか。

そんなことはありませんよね。

「今日から築40年になったから建て替えよう!」

とは、普通はならないと思います。

建物は、ある日突然古くなるわけではありません。

もちろん築年数が増えれば、設備や建物そのものの老朽化は進んでいきます。

ただ、建て替えを考えるうえで大切なのは、築何年になったかだけではなく、そのアパートの経営が今どうなっているのかです。

私がお客様にお話しするときは、特に次の3つを一つの目安にしています。

建て替えを考える3つのタイミング

周辺の物件より家賃がかなり低くなってきた

一つ目は、現在の家賃と周辺物件の家賃に大きな差が出ている場合です。

特に、現在の家賃が周辺の新しい物件と比べて3分の2程度、場合によっては半分程度になっているようなケースでは、一度建て替え後の収支を比較してみてもいいと思います。

建て替えれば、借入金の返済が始まることがあります。

一方で、新築になれば現在より高い家賃を設定できる可能性があります。

そのため条件によっては、借入金を返済しながらでも、現在の古いアパートを経営しているときと手元に残る金額が大きく変わらないケースもあります。

そうであれば、今後必要になる修繕費や税金なども含めて、どちらが自分に合っているのか比較する価値があります。

もちろん、新築にすれば必ず高い家賃で満室になるという意味ではありません。

建て替え後に想定している家賃に根拠があるのか、周辺に賃貸需要があるのかまで確認したうえで判断することが大切です。

高額な修繕が必要になってきた

二つ目は、大きな修繕費用がかかるようになってきたときです。

古いアパートを所有していれば、いずれまとまった修繕が必要になることがあります。

そんなとき、私は一度、

「その修繕費は、家賃何か月分ですか?」

と考えてみてほしいと思っています。

例えば数百万円を現金で修繕に使ったとして、その金額を家賃収入で取り戻すにはどのくらいかかるでしょうか。

数か月なのか、数年なのか。

さらに、一度大きな修繕をしたからといって、その後まったく修繕が必要なくなるとは限りません。

だからこそ、高額な修繕をする前に、

そのお金を今の建物に使うのか。
それとも将来建て替えるための自己資金として残すのか。

一度比較してみてもいいと思います。

「古くなったから修繕する」と自動的に決めるのではなく、建て替えも含めて考えるタイミングの一つです。

※一般に修繕と呼ばれる工事でも、内容によっては税務上「修繕費」ではなく「資本的支出」として扱われる場合があります。

相続や税金について考え始めた

三つ目は、相続対策や所得税などについて考え始めたときです。

これは「○歳になったら」「築○年になったら」という目安を出せるものではありません。

所有している資産や収入、借入、家族構成などによって状況はそれぞれ違うからです。

そのため、建て替えれば必ず相続対策や所得税対策になるという話ではありません。

ただ、

「そろそろ相続について家族で考えようか」

「このアパートを将来どうするか決めておこうか」

と思ったときは、建物の今後についても一緒に考えるタイミングだと思います。

築25年で建て替える人も、築50年で建て替えない人もいる

実際に私がこれまでお会いしたお客様の中には、まだ築25年にも満たないアパートを建て替えた方がいました。

借入も残っていました。

それでも建て替えを選んだ理由の一つが、アパート経営の収支でした。

家賃収入があっても支出が多く、経営に困っていたからです。

築年数だけを見れば「まだ建て替えるには早い」と感じるかもしれません。

でも、その方にとって問題だったのは築年数ではなく、今の経営状態でした。

反対に、築50年になっても建て替えを考えていない方もいます。

満室だから今のままでいいと考えている方。

古くても家賃収入があり、生活の足しになっている方。

高齢になり、「今後のことは子どもたちに任せる」と考えている方。

同じ築50年でも、所有者によって考え方はまったく違います。

だから私は、「築○年だから建て替えた方がいい」とは一概には言えないと思っています。

「2年後に建て替える」なら、2年後から考えればいい?

以前、築40年ほどのアパートについて相談を受けたことがあります。

所有者は90歳を超えていましたが、とても元気なおじいちゃんでした。

ご家族ではすでに話し合いをしていて、息子さんから、

「2年後に入居者さんに退去してもらって、その後建て替えようと思っています」

という話がありました。

目的の一つは相続対策でした。

管理会社からも、2年後までの退去をお願いする案内を入居者へ始めていたそうです。

当時の入居率は8割程度だったと思います。

ご家族としては、

「2年後になったら、そのとき建て替えを考えればいい」

と思っていました。

でも、ここで考えてほしいことがあります。

2年後になったとき、すべての入居者が予定どおり退去しているとは限りません。

賃貸借契約の内容などによっても異なりますが、貸主側から退去をお願いしたからといって、必ずその時期までに退去してもらえるとは限らないからです。

反対に、案内を受けて少しずつ退去が進めば、その間の家賃収入は徐々に減っていきます。

そして2年後になってから、

どんな建物にするのか。
事業費はいくらになるのか。
借入をどうするのか。

と考え始めれば、実際に解体を始めるまでにはさらに時間が必要です。

そこで私は、

2年後に建て替えを「考え始める」のではなく、2年後に建て替えを「始められる」ように、今から準備しておきませんか。

というお話をしました。

ご家族にも納得していただき、そこから建て替えについて具体的に考えることになりました。

この経験からも、私は、

「建て替える時期」と「建て替えを考え始める時期」は違う

と思っています。

まとめ|築年数より「今の経営とこれから」で考える

築40年だから建て替える。

築30年だからまだ大丈夫。

アパートの建て替え時期は、それほど単純には決められません。

実際に私が見てきた中でも、築25年に満たない段階で建て替えた方もいれば、築50年でもそのまま経営している方もいます。

大切なのは、

今の家賃は周辺と比べてどうなのか。
これから修繕にいくらかかりそうなのか。
相続や今後の経営をどう考えているのか。

そして、

このアパートをこれからどうしていきたいのか。

築年数は、その判断材料の一つにすぎません。

「築何年になったら建て替える?」ではなく、今の経営状況とこれからを見ながら、建て替えを考え始めるタイミングを決めてみてください。

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