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土地活用を考えたとき、「アパートを建てる」というのは代表的な選択肢のひとつです。
相続税対策のため、使っていない土地を活用するため、将来の収入を得るためなど、アパートを検討する理由は人によってさまざまです。
私はこれまで14年間、建築営業としてアパート・マンションを中心とした土地活用の提案をしてきました。
仕事なので、もちろんアパートを建てていただきたいという気持ちはあります。
でも、だからといって「土地があるならアパートを建てた方がいい」とは思っていません。
土地によっては入居が難しい場所もありますし、建てることはできても事業計画が良くない場合もあります。また、数字上は問題がなくても、将来その事業を引き継ぐ可能性のあるご家族に十分な説明ができていない状態で進めることもおすすめしません。
アパートは建てて終わりではなく、その後何十年と続いていく事業です。
今回は、これまでの営業経験から私が考える「アパートを建てない方がいい3つの条件」についてお話しします。
入居需要が見込めない
アパートを検討するときに、私がまず確認するのが「この場所に本当に入居需要があるのか」ということです。
仕事柄、土地活用の比較サイトを経由したお問い合わせをいただくことがよくあります。
相談内容はアパート建築だけではなく、「土地を売りたい」「今あるアパートの管理会社を変えたい」「リノベーションしたい」「店舗として活用したい」など、本当にさまざまです。
ご実家が空き家になったことや、親御さんが高齢になったことをきっかけに、息子さんや娘さんからお問い合わせをいただくことがあります。
意外に多いのが、お問い合わせをいただいた方が現在住んでいる地域と、活用を検討している土地が遠く離れているケースです。
そのお問い合わせに対応させていただく際、私はいきなりアパートの話をすることはほとんどありません。
まずはご所有地について、住宅地図やインターネット、Googleマップなどを使って、最寄り駅や周辺のアパート、ロケーション、家賃相場などを調べます。
そのうえで、「この場所でアパートを建てた場合、本当に入居需要が見込めるのか」を考えていきます。
周囲が山や田んぼばかりで住宅自体がほとんどないような場所であれば、私はアパートをおすすめしません。
また、最寄り駅が小規模だったり、近隣にアパートがほとんどなかったり、あったとしても家賃がかなり安かったりする場合も慎重に考えます。
もうひとつ私が見るのが、近くに働く場所があるかどうかです。
賃貸に住む方の中には、就職や転勤、単身赴任などでその地域に住む方もいます。近くに企業や工場などの働く場所があれば、駅から多少離れていても賃貸需要が見込める場合があります。
反対に、「この地域に賃貸住宅を借りて住む人は、どこから来るんだろう?」という場所であれば、私は最初からあまり良い事業計画にはならない可能性があることをお話しします。
もちろん、まずはお客様がなぜ土地活用を考えたのか、これまでその土地をどうしてきたのか、今後どうしたいのかという意向を確認したうえでの話です。
そのうえで、それでもアパートを建てたい、あるいは何らかの理由で建てる必要があるという場合には、できるだけ良い計画にできないかを考えて提案します。
周辺の賃貸状況は自分でも確認できる
「まだ具体的に決めていないし、いきなり問い合わせをするのにはちょっと抵抗がある……」
そんな方もいると思います。
では、自分で周辺の賃貸状況や入居需要を調べるには、どうしたらいいのでしょうか。
比較的簡単なのが、実際にその土地がある地域で賃貸物件を検索してみることです。
普段使っている賃貸物件の検索サイトで、その地域にはどんな物件があるのかを見てみるだけでも参考になります。
間取りや家賃、築年数、駅からの距離などを見ていくと、「この辺では単身者向けが多いんだな」「このくらいの家賃で募集されているんだな」と、その地域の賃貸事情が少しずつ見えてきます。
また、現在募集されている物件だけではなく、周辺にどんな賃貸物件があるのかを調べる方法として、LIFULL HOME’Sの「不動産アーカイブ」を参考にする方法もあります。
過去に募集されたことのある物件も掲載されているため、現在は募集していない物件も含めて、その地域にどのような賃貸物件があるのかを確認することができます。
一方、通常の賃貸物件検索サイトに掲載されているのは、基本的に現在入居者を募集している物件です。
つまり、検索した時点では空室、もしくはこれから空室になる予定の部屋でもあります。
そのため、「たくさん物件が出てくるから、この地域は賃貸需要が高い」と単純に判断するのではなく、どんな間取りがあるのか、どのくらいの家賃で募集されているのかなどを知るための参考として見るのがいいと思います。
アパートは建てることが目的ではありません。
実際に入居してくれる方がいて、家賃が入ってきて初めて事業として成り立ちます。
だからこそ私は、建物を考える前にまず入居需要を確認することが大切だと考えています。
無理のない事業計画が作れない
次に私が確認するのが、事業計画です。
「土地が小さいとアパートには向かないのでは?」と聞かれることがありますが、私は単純に土地が小さいからダメだとは考えていません。
大切なのは、その土地の広さではなく、その土地で何戸計画できて、その計画が事業として成り立つのかです。
まずリスクの面で考えると、計画戸数はある程度多い方がアパート経営は安定しやすくなります。
例えば、2戸のアパートで1戸が空室になれば、入居率は50%です。一方、10戸のアパートなら、1戸が空室になっても入居率は90%です。
同じ1戸の空室でも、経営に与える影響はかなり違います。
だからといって、「2戸のアパートはダメ」というわけではありません。かといって、戸数が多ければいいというものでもないんです。
駅に近く、単身者の需要が強い場所で、駐車場がなくても入居が見込めるのであれば、小さな土地でも十分検討できる場合があります。
逆に、ファミリー層の需要が中心のエリアで、戸数を増やすために単身向けの間取りを多く計画しても、そもそもの入居需要が合っていなければ、事業計画そのものが成り立たなくなってしまいます。
結局のところ、土地の大小や戸数だけで判断するのではなく、その場所の需要に合った建物を計画したうえで、事業として成り立つかどうかを見ることが大切だと私は考えています。
表面利回りだけでは分からない
アパートや投資物件を調べていると、「表面利回り○%」という数字を目にすることがあると思います。
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格や事業費で割って計算するもので、事業性を見るひとつの目安になります。
ただ、私が事業計画を見るときは、表面利回りだけではなく、最終的にどのくらいのお金が手元に残るのかを重視しています。
アパート経営には借入金の返済がありますし、それ以外にも管理費や修繕費、税金などの支出があります。
表面上の数字が良く見えても、返済や必要な支出をしたあとにほとんどお金が残らないのであれば、私は良い事業計画だとは思いません。
では、事業計画があまり良くない場合、改善する方法はないのでしょうか。
例えば、自己資金を増やせば借入額を減らすことができ、その分返済の負担も小さくなります。
総事業費そのものを下げることができれば、事業性が改善することもあります。
そして、もうひとつは家賃収入を上げることです。
ただ、家賃については特に注意が必要です。
事業計画書の家賃を高く設定すれば、計算上の収入は増えるので数字は良くなります。
でも、周辺相場とかけ離れた家賃を設定して、実際にその家賃で入居者が決まらなければ何の意味もありません。
それでは、数字の上だけで成り立っている事業計画になってしまいます。
事業計画は数字を良く見せるために作るものではなく、実際にその数字で経営できるかどうかを見るものです。
だからこそ、①でお話しした入居需要や周辺家賃の確認が、ここでも重要になってきます。
現実的な家賃で計算したうえで、自己資金を増やしたり、総事業費を見直したりしても事業性が良くならないのであれば、私は無理に建てない方がいいと考えています。
将来引き継ぐ家族に十分な説明ができていない
アパート経営は、どんな理由で建てたとしても、一度始めたらとても長い事業になります。建てた本人だけでは完結しない可能性が高い事業です。
私が営業をしていて特に気をつけているのが、70代以上のお客様からご相談をいただいた場合です。
ご本人様に事業内容を説明し、理解・納得していただいたうえで契約したとしても、後になってお子様から、
「こんな話は聞いていなかった」
「なぜこの年齢でアパートを建てたのか」
といった話になることがあります。
そのため私は、70代以上のお客様の場合には、将来的にその事業を引き継ぐ可能性のある方々に同席していただき、一緒にお話を聞いてもらえるようにご案内しています。
これは勤務先でも強く推奨されていることですが、私自身もこれまでの営業経験から、とても大切なことだと感じています。
アパートは建てて数年で終わるものではありません。
仮に70代で建築すれば、将来の経営や修繕、借入、そして最終的な土地・建物の扱いを、次の世代が引き継ぐ可能性は十分にあります。
だからこそ私は、「今、建てる人が納得しているか」だけでなく、「将来引き継ぐ可能性のある家族にも理解してもらえているか」まで確認してから進めた方がいいと考えています。
3つのうち、どれかに大きな不安があるなら一度考えてみる
ここまでお話しした、
① 入居需要が見込めるか
② 無理のない事業計画が作れるか
③ 将来引き継ぐ家族にも十分な説明ができているか
私は、この3つのどれも大切だと考えています。
もちろん、最初からすべての条件が完璧にそろっていなければ、アパートを建ててはいけないということではありません。
事業計画が少し厳しくても、建物の計画や資金計画を見直すことで改善できる場合もあります。
家族への説明がまだできていないのであれば、これから一緒に話を聞いてもらうこともできます。
ただ、どれかに大きな不安がある状態で、「土地があるから、とりあえずアパートを建てよう」と進めてしまうことはおすすめしません。
アパートは一度建てたら簡単にやめられるものではありません。
だからこそ、「建てられるか」ではなく、「建てたあとも事業として続けていけるのか」まで考えて判断することが大切だと思っています。
アパートを建てないなら、その土地をどうする?
では、検討した結果「アパートは建てない方がいい」となった場合、その土地はどうすればいいのでしょうか。
土地活用というと、どうしても「何かを建てる」というイメージがあるかもしれませんが、選択肢はそれだけではありません。
土地を売却する方法もありますし、駐車場として活用する方法、土地そのものを貸す方法もあります。
また、将来的に自分や子どもが使う予定があるのであれば、今は何も建てずにそのまま所有しておくという選択もあります。
実際に土地の相談を受けていると、
「何か活用した方がいいと思っているけれど、何をしたらいいのか分からない」
「売った方がいいのか、持っていた方がいいのか迷っている」
という方もいらっしゃいます。
私は、土地を持っているからといって、必ず何かを建てなければいけないとは思っていません。
売却するのか、駐車場にするのか、土地を貸すのか、それとも今はそのまま持っておくのか。
まずはいくつかの選択肢を知ったうえで、その土地やご自身の状況に合った方法を考えていけばいいと思います。
自分の土地に合った方法が分からない場合は
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ここまでいろいろな選択肢をお話ししましたが、
「結局、自分の土地には何が合っているんだろう?」
と思う方もいると思います。
土地の場所や広さ、周辺環境によっても選択肢は変わりますし、自分だけで判断するのはなかなか難しいものです。
そんなときは、一社だけの意見で決めるのではなく、複数の会社から話を聞いて比較してみるのもひとつの方法です。
「タウンライフ土地解決」は、複数の会社から土地の査定額をもらい、その土地の価値を比較できる無料のサービスです。
査定をしたからといって、必ず土地を売却しなければならないわけではありません。
まずは自分の土地にどのくらいの価値があるのかを知り、そのうえで「このまま所有するのか」「売却するのか」「ほかの方法で活用するのか」を考える判断材料のひとつとして利用することができます。
まだ具体的に何をするか決めていない方でも利用できるので、自分だけでは判断が難しい場合には、複数の会社の意見を聞いてみるのもいいと思います。
※地域や土地の条件などによっては、紹介できる会社がない場合があります。
まとめ|建てられる土地でも、建てた方がいいとは限らない
今回は、建築営業として14年間アパート・マンションの提案をしてきた私が、アパートを建てる前に確認している3つの条件についてお話ししました。
① 入居需要が見込めるか
② 無理のない事業計画が作れるか
③ 将来引き継ぐ家族にも十分な説明ができているか
私は仕事としてアパートを提案していますが、それでもすべての土地にアパートを建てた方がいいとは思っていません。
入居需要が見込めなかったり、無理のある事業計画になってしまったりするのであれば、建てないという判断も必要です。
そして、アパートを建てないからといって、その土地の活用を諦める必要もありません。
売却、駐車場、土地を貸す、そのまま所有するなど、ほかにも選択肢はあります。
アパート経営は、一度始めれば長く続く事業です。
だからこそ、建物を建てる際は自分一人で考えるのではなく、ご家族の意見や、私たちプロの視点からの意見も聞いたうえで決めてほしいと考えています。
「建てられるから建てる」のではなく、「本当に建てた方がいいのか」まで考えてから決める。
アパートを建てることだけを目的にせず、その土地とご家族にとって一番良い選択肢を考えることが、土地活用では大切だと思っています。


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