土地活用というと、
「アパートを建てる」
「駐車場にする」
といった方法を思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、土地活用には自分で建物を建てずに、土地そのものを貸して収入を得る方法もあります。
その一つが「定期借地」です。
私はアパート・マンションの建築営業を14年間続けていますが、実際に地主さんの土地を定期借地で貸し、そこにアパートを建てた経験があります。
この記事では難しい法律の話をできるだけ簡単にしながら、実際の経験をもとに、
「定期借地で土地を貸すってどういうこと?」
というところから、地主側のメリット・デメリットまで紹介します。
定期借地とは?普通の借地と何が違う?
土地を貸す契約には、普通借地権や定期借地権などがあります。
大きな違いの一つが、契約期間が終わったときの考え方です。
普通借地権は更新を前提とした仕組みで、地主側から更新を拒絶するには正当事由が必要になります。
一方、今回紹介する「一般定期借地権」は、50年以上の期間を設定し、契約を更新しないことなどをあらかじめ特約として定める仕組みです。
簡単に違いをまとめると、次のようになります。
| 種類 | 契約期間 | 用途 | 契約終了 |
| 普通借地権 | 30年以上 | 制限なし | 更新の仕組みあり |
| 一般定期借地権 | 50年以上 | 制限なし | 原則、期間満了で終了 |
| 事業用定期借地権 | 10年以上50年未満 | 事業用建物のみ | 原則、期間満了で終了 |
※借地契約にはほかにも種類があり、契約内容によって扱いが異なります。
今回紹介する実例で利用したのは一般定期借地権です。
一般定期借地権では、契約期間を50年以上とし、契約の更新をしないこと、建物の再築による期間延長をしないこと、建物の買取請求をしないことなどを特約として定めます。
期間が満了したときには、原則として借地人が建物を取り壊して土地を返還します。
つまり、
「土地を長期間貸すけれど、最初から終わりを決めておく」
という考え方です。
実際に定期借地でアパートを建てた話
ここからは、私が実際に経験した事例を紹介します。
地主さんは、その地域でもかなり多くの不動産を所有している方でした。
すでに賃貸マンションや貸家を所有し、土地を借地として貸すなど、不動産活用の経験も豊富な方です。
ところが、ご家族には一つ大きな意向がありました。
「新しく借金をしてアパートを建てることには反対」
だったのです。
土地は持っている。
不動産活用もしている。
でも、新たに大きな借入をして建物を建てることはしたくない。
一方で地主さんからは以前から、
「土地を貸す話だったら、いつでも声を掛けて」
と言われていました。
そんなとき、社宅として利用できる物件を必要としている法人から問い合わせがありました。
希望する場所や条件などを確認していくと、その地主さんの土地と条件が合ったのです。
そこで、地主さんの土地を定期借地で貸し、その土地にアパートを建てる計画が進みました。
契約期間は50年間。
契約期間終了後の更新はなく、最後は建物を解体して原状回復し、土地を返還する契約です。
地主さん自身が建築資金を借りてアパートを建てるのではなく、土地を貸すことで地代収入を得る土地活用になりました。
定期借地で50年土地を貸すということ|3世代に説明した理由
この契約のとき、私は地主さんだけに説明したわけではありません。
ご家族3世代に話を聞いてもらいました。
なぜなら、50年は非常に長いからです。
今20歳の人でも、50年後には70歳です。
契約した地主さん自身だけでなく、将来その土地を引き継ぐ子どもや孫の世代にも関係してくる可能性があります。
「今は使う予定がないから貸そう」
だけで決めてしまうと、将来、
「ここに家を建てたかった」
「土地を売りたかった」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、契約期間中は地主だからといって自由に土地を使えるわけではありません。
だから私は、50年という長期間の定期借地を考えるのであれば、現在の地主さんだけではなく、将来その土地を引き継ぐ可能性のある家族にも契約内容を理解してもらうことが大切だと思っています。
定期借地は、自分の代だけを考えて決める土地活用ではありません。
子どもや孫の代まで考えて決める契約だと思います。
地主から見た定期借地のメリット・デメリット
今回の地主さんにとって大きなメリットだったのは、
自分で多額の建築資金を借りなくても、土地から収入を得られること
でした。
土地は売却せず、そのまま所有できます。
また、自分でアパートを建てる場合とは違い、地主さん自身が建築費のために大きな借入をする必要もありませんでした。
そのため、
- 土地は売りたくない
- 新たな借金はしたくない
- 使っていない土地から収入を得たい
という地主さんにとっては、条件が合えば一つの選択肢になります。
一方で、大きなデメリットがあります。
一般定期借地権の場合、50年以上という長期間、その土地を自由に使えなくなることです。
50年の間には、地主さんや家族を取り巻く状況が変わる可能性があります。
また、土地を貸す以上、
「誰に貸すのか」
「地代はいくらなのか」
「契約期間中の条件はどうなっているのか」
「契約終了時にどのような状態で返してもらうのか」
なども重要です。
定期借地は、自分で建物を建てないからといって「リスクがない土地活用」ではありません。
建築のための借入を抑えられる代わりに、長期間土地を自由に使えなくなる。
この両方を理解して検討することが大切です。
昔から土地を貸していて困っていた地主さんもいた
土地を貸すことについて、もう一つ印象に残っている相談があります。
30年以上前から、土地を工場用地として貸している地主さんでした。
長年土地を貸している中で固定資産税の負担も変わり、地主さんは地代について借主と交渉しました。
ところが、交渉はまとまりませんでした。
地主さんとしては、
「それなら土地を返してもらいたい」
という気持ちもありました。
しかし、長年続いている借地契約なので、簡単に「返してください」で終わる話ではありません。
※借地契約は契約した時期や内容によって適用される法律や条件が異なるため、この事例だけで借地権の種類を判断することはできません。
この相談を経験して改めて感じたのが、
土地を貸すときは、貸すときだけではなく「最後」を考えることが大切
ということです。
毎月いくら地代が入るのか。
もちろん、それも大切です。
でも、それと同じくらい、
「いつ、どのような状態で土地が返ってくる契約なのか」
まで確認してほしいと思います。
まとめ|定期借地で土地を貸すなら50年後まで考える
土地活用は、自分で建物を建てる方法だけではありません。
土地を売らず、自分で建物を建てずに、土地を貸して収入を得る。
定期借地は、そんな選択肢の一つです。
実際に私が経験したケースでは、
「借金をして新しくアパートを建てたくない。でも土地を貸すことには抵抗がない」
という地主さんと、社宅を必要としていた法人の条件が合ったことで、定期借地を使った土地活用につながりました。
ただし、一般定期借地権は50年以上という非常に長い契約です。
今20歳の人でも、50年後には70歳。
だからこそ、目の前の地代収入だけではなく、
「この土地を50年後どうしたいのか」
まで家族で考えたうえで選択することが大切だと思います。
土地活用を考えるときは「建てる」「売る」だけではなく、「貸す」という選択肢も含めて、自分や家族に合った方法を比較してみてください。


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