土地を相続したら、売る?活用する?そのまま持つ?

土地活用

「不動産ってよく分からないから……」

「こんなご時世だから……」

「めんどくさそうだから……」

相続した土地について、とりあえず「売ってしまおう」と考える方もいるかもしれません。

でも、なんとなくという理由だけで売却するのであれば、ちょっと待ってください。

土地を相続したからといって、必ず活用しなければならないわけでもありません。

売却するのか、活用するのか、それとも今のまま持ち続けるのか。

大切なのは、いくつかの選択肢を知った上で、自分に合った方法を考えることです。

この記事では、相続した土地について「売る」「活用する」という2つの方向から、私自身の営業経験も踏まえて考えていきます。

まず、相続した土地で考えるべきこと

土地を相続したら、いきなり「何を建てよう?」と考える必要はありません。

まずは、その土地を今後どうしたいのかを考えてみましょう。

売却を検討してもいいケース

「土地を相続したら、必ず活用しなければならない」ということではありません。

土地の状況やご家族の事情によっては、売却を検討した方がいい場合もあります。

例えば、次のようなケースです。

共有名義で、現金化して分けたい

相続した土地を複数人で共有している場合、それぞれの生活状況や考え方が違うこともあります。

「自分は土地を持っていたいけれど、他の共有者は現金が欲しい」ということもあるでしょう。

そのような場合には、土地を売却して現金化し、共有者で分けるという方法も選択肢になります。

大きな現金が必要

借入金の返済や税金の支払い、高額な医療費など、まとまった資金が必要になる場合もあります。

土地を所有し続けることよりも、現金化することを優先した方がよいケースもあるでしょう。

管理が難しい

遠方に住んでいる、仕事などで管理する時間がない、建物が古く管理に手間がかかるなど、所有し続けること自体が負担になる場合もあります。

管理を業者に依頼する方法もありますが、その分費用がかかります。

「持っているだけだから大丈夫」と考えず、これからどのくらいの手間や費用がかかるのかを考えてみることが大切です。

今後利用する予定がない

検討した結果、自分や家族が住む予定もなく、土地活用をする予定もない。

そのような土地であれば、売却という選択を一度考えてみてもいいでしょう。

売却のメリット

売却する大きなメリットは、まとまった現金を一度に得られることです。

土地を所有しているだけでは現金収入になりませんが、売却することで、その土地を現金という別の形に変えることができます。

そのお金を借入金の返済や納税、生活資金、別の資産への組み替えなどに使うこともできます。

また、売却すれば、その土地について今後発生する固定資産税や管理の負担からも離れることができます。

売却のデメリット

一方で、売却すればすべてのお金がそのまま手元に残るわけではありません。

土地を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に対する税金が発生する場合があります。

また、売却した年の確定申告が必要になる場合があります。

仲介会社を利用する場合には、仲介手数料などの費用も考えておかなければなりません。

「いくらで売れるか」だけではなく、売却した後に実際にいくら手元に残るのかまで考えることが大切です。

売却できない土地はある?

「この土地は売れないんですか?」

仕事をしていると、このような質問を受けることがあります。

私自身は、「売却できない」というより、「希望する条件では売れない」というケースが多いと考えています。

そもそも、売主が希望する価格と、買主が購入したい価格が合わなければ、なかなか売買は成立しません。

また、土地の形や大きさ、立地、接道状況、権利関係などによって、購入を検討できる人が限られることもあります。

つまり、

「売れない土地=価値がない土地」ではありません。

売主側の希望と、買主側の条件が合わないことで、売却まで時間がかかることもあります。

だからこそ、「売れないから仕方なく持ち続ける」と決める前に、その土地がどのような条件なら売れるのかを知ることも大切です。

活用を考えてみる

ここまで読んで、

「売却するほど困ってはいない」

「できれば土地は残したい」

「せっかく相続した土地なので、何かに使えないかな?」

と思った方は、土地活用について考えてみてもいいでしょう。

ただし、土地活用は「土地があるから、とりあえず何か建てる」というものではありません。

まずは、何のために活用するのかを考えてみましょう。

何のために活用するのか?

次の中に、一つでも当てはまるものはありませんか?

  • 今の土地から収入を得たい
  • 今より収入を増やしたい
  • 固定資産税などの負担を減らしたい
  • 土地や建物の維持・管理が負担になっている
  • 土地を使っていないのがもったいないと感じている
  • 将来の生活や相続について考え始めた
  • 土地を手放さず、次の世代に残したい
  • 管理ができない、またはあまりしたくない

一つでも当てはまるものがあれば、それは土地活用について考えてみるタイミングかもしれません。

土地活用を考えるときは、「何を建てるか」から考えるのではなく、まず「何のために活用するのか」を決めることが大切です。

土地活用にはどんな方法がある?

土地活用といっても、方法は一つではありません。

代表的なものを、収益性・コスト・安定性・節税という4つの視点から比較してみます。

活用方法収益性コスト安定性節税
月極駐車場△◎○×
コインパーキング△○○×
アパート・マンション○×◎◎
店舗◎△△△
定期借地△◎○×

※上記は一般的な傾向を示したもので、土地の立地・規模・形状・契約条件などによって異なります。

この表だけを見て、

「じゃあアパートにしよう」

「駐車場が一番簡単そう」

と決めるのはおすすめしません。

どんな土地活用にも、それぞれメリットとリスクがあります。

土地の立地や大きさだけでなく、初期費用、借入、維持管理費、空室や空きテナント、将来の修繕など、考えなければならないことはたくさんあります。

「収入が得られそうだから」「節税できそうだから」という理由だけで決めるのではなく、その活用方法にはどんなリスクがあるのかまで把握した上で判断することが大切です。

分からないことは、税理士・不動産会社・金融機関など、それぞれの分野の専門家に相談してみましょう。

自分の土地なら、どの活用を考える?

私が土地活用を考えるときは、まず「この土地で一番収益性を高めるにはどうしたらいいか」を考えます。

ただし、それがすべての人にとって正解とは限りません。

「借入はしたくない」

「今かかっている費用だけでも土地から出したい」

「できるだけ安定した収入が欲しい」

など、土地を所有する人によって目的は違うからです。

まずは、用途地域・道路付け・土地の広さなどを確認します。

その上で、私は基本的に次のような順番で考えます。

まずは店舗系事業を考える

その土地で店舗系の事業ができる可能性があるのであれば、まず検討します。

店舗はうまくいけば高い収益性が期待できる一方、立地や事業内容、テナントによってリスクも大きくなります。

「店舗ができそうだから、店舗にしよう」と簡単に決めるのではなく、その土地で本当に需要があるのかを確認する必要があります。

店舗系が難しい場合は賃貸物件

店舗系が難しい場合には、アパート・マンションなどの賃貸物件を検討します。

長期的な家賃収入を期待できる一方で、建築費や借入、管理費、修繕費なども必要になります。

大きな借入をしたくないなら駐車場

「借入はしたくない」

「とりあえず今かかっている固定資産税などの支払いを工面したい」

という場合には、月極駐車場やコインパーキングなども選択肢になります。

大きな建築投資を必要としないケースがある一方、収益性は立地や需要に左右されます。

大切なのは、どの活用方法が一番いいかではなく、自分が何を優先するのかです。

駐車場経営のメリット・デメリットや、月極駐車場とコインパーキングの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

建物を建てる場合に、必ず確認したいこと

ここからは、特にアパート・マンションや店舗など、建物を建てる場合に確認しておきたいことです。 

①収入に対する支出と返済の割合

家賃収入に対して、ローン返済がどのくらいになるのかだけを見るのでは不十分です。

借入金の返済、利息、管理費、固定資産税などの税金、修繕費、火災保険など、必要になる支出をまとめて考える必要があります。

私は実務上の一つの目安として、これらの支出を家賃収入の65%程度までに抑えられるかを考えます。

もちろん、65%という数字がすべての物件に当てはまるわけではありません。

特に注意したいのは、今の金利だけを見て事業計画を考えないことです。

今後、金利が上昇した場合でも返済を続けられるのか。

そこまで考えておく必要があります。

②管理費の確認

管理会社に支払う管理費も確認しましょう。

一般的には、家賃収入の4〜5%程度が一つの目安になることがあります。

ただし、単純に「安い会社を選べばいい」ということではありません。

家賃管理や入居者対応だけでなく、

  • 建物の管理
  • 定期巡回
  • 雑草などの除去
  • 異常があった場合の報告

など、どこまで対応してくれるのかを確認しましょう。

必要な管理をしっかりしてくれるのであれば、多少管理費が高くても、その方が安心できる場合もあります。

③契約期間・更新期間の確認

特に店舗などでは、契約期間や更新期間も重要です。

店舗の場合、更新期間が3年程度など、住宅とは違った契約になることがあります。

その店舗のために建物を建てるのであれば、

「その店舗が退去したら、この建物はどうするのか?」

まで考えておきたいところです。

建物の返済期間と、テナントとの契約期間が合っているのか。

途中で契約が終了した場合に、どのようなリスクがあるのか。

ここも確認しておきましょう。

④保証・サブリースの内容確認【超重要】

「家賃保証があるから安心」

と考えてしまうのは危険です。

家賃保証やサブリースを利用する場合は、契約内容をしっかり確認してください。

例えば、

  • 空室になった場合はどうなるのか
  • 家賃保証は何年間続くのか
  • 家賃の見直しはあるのか
  • 誰が家賃の見直しを決めるのか
  • オーナー側にも決定権があるのか
  • 中途解約はできるのか
  • どのような場合に相手側から解約される可能性があるのか

などです。

「保証」という言葉だけで安心するのではなく、保証される条件そのものを確認することが大切です。

⑤修繕費の確認

建物は、建てたら終わりではありません。

外壁、屋根、防水、設備などは、時間が経てば修繕や交換が必要になります。

国土交通省も、民間賃貸住宅について計画的な維持修繕や、定期的な点検、長期的な修繕計画の重要性を案内しています。(国土交通省)

そのため、

「修繕費として毎月いくら積み立てればいい」

と一律に考えるのではなく、建物の構造や規模、設備などを踏まえて、将来どのような修繕が必要になるのかを確認しておきましょう。

家賃収入からローンを返済した残りが、そのまま利益になるわけではありません。

将来の修繕費や設備交換費なども含めて、事業計画を考えることが大切です。

⑥売却するときのことも考えておく

「建てるときに、売るときのことまで考えるの?」

と思うかもしれません。

でも、私はこれも大切だと考えています。

借入がない状態であれば、売却についてそれほど難しく考える必要はないかもしれません。

一方、借入が残っている場合には、事業用物件として売却することになるため、

「いくらで売れるのか」

だけではなく、

「その価格で売った場合、残っている借入を返済できるのか」

まで考える必要があります。

また、事業用物件は収益性によって評価されるため、何年後くらいから売却しやすくなるのかなど、将来の出口まで考えておくのも一つの方法です。

土地活用に「絶対の正解」はありません

ここまで読んで、

「結局、何が一番いいの?」

と思った方もいるかもしれません。

でも、土地活用には「これが絶対に正解」というものはありません。

同じような土地でも、

「できるだけ収入を増やしたい」

「借入はしたくない」

「管理の手間を減らしたい」

「将来、子どもに残したい」

など、所有者の目的によって答えは変わります。

そして、土地活用には必ずリスクがあります。

だからこそ、表だけを見て「これにしよう」と決めるのではなく、専門家に相談し、その活用方法のメリットだけではなく、どんなリスクがあるのかまで確認してから判断することが大切です。

まとめ

今の生活から何かを変えるというのは、かなり力のいることだと思います。

土地活用についても、周囲から「今のままでいいんじゃない?」「借金までしてやる必要はないんじゃない?」と、まず反対されることもあるでしょう。

だからこそ、周囲の意見だけで決めるのではなく、自分自身がきちんと考えた上で結論を出すことが大切だと思います。

私自身も、将来、相続する可能性のある不動産があります。

この仕事をしているからこそ、今のうちから両親や兄弟と、その不動産を将来どうするのかについて話すことができています。

この仕事をする前の私だったら、きっと何も考えず、考えようとすることすらなかったと思います。

土地を相続するということは、決して他人事ではありません。

売却するのか、活用するのか、それとも今のまま持ち続けるのか。

すぐに結論を出す必要はありません。

まずは一度、自分の土地について考えてみる。

この記事が、そのきっかけになれば幸いです。

※本記事は土地活用について考える際の一般的な情報をまとめたものです。税金、法律、融資、契約などについては、個別の事情によって取り扱いが異なる場合があります。具体的な判断をする際は、税理士・司法書士・不動産会社・金融機関など、必要に応じて各分野の専門家へご相談ください。

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